六本木ヒルズからの七転八倒

【痔瘻編09】お尻に挟まれた、綿

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声を出さずに我慢することなど到底不可能だった。肛門に突き刺さった麻酔注射は、今まで受けたどんな注射とも比べ物にならないほどの激痛を私に与えた。もしかしたら、これまでの人生の中でも最大級の痛みかもしれない。

私は思わず身体を仰け反らせ、注射針から逃れようとしたが、看護師さんたちの手によって阻まれてしまった。

「危ないですから、動かないで!」

看護師さんが語気を強める。もちろんわかっている。注射針が刺さった状態で動くなど、素人でも危険だと容易に理解できる。しかし、身体が勝手に動いてしまうのだ。

「グッ!……痛ッッテー!……グッソ……」

私は歯を食いしばったまま、必死に耐えた。両手で顔面を覆い、自らにアイアンクローを喰らわせて痛みを紛らわせた。

「はい、お疲れ様です。麻酔は終わりましたよ。楽にしてください」

浩二先生の声が遠くで聞こえる。まさか気絶することはないが、意識が少しだけ遠のいていたようだ。実際には五秒から十秒程度の短い時間だったのだろうが、激痛に耐えていた私にとっては、それが十分にも一時間にも感じられた。

「じゃあ麻酔が効いてきたみたいなんで、処置を始めますね」

浩二先生からその言葉が発せられてから、処置が終わるまでは本当にあっという間だった。肛門付近になにやら刺されたような感覚はあったが、麻酔が効いていたので何の痛みもなく終了した。

「以上で終了です。お疲れ様です。今、お尻に止血の綿を挟んでますので、このままの状態で廊下の椅子に五分ほど座っててください。圧迫されて血が止まりますから」

「は……はい。ありがとうございました」

私の身体は疲れきり、汗だくになっていた。処置の間、ずっと全身が力んでしまっていたのだろう。私はおぼつかない足取りで処置室をあとにした。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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