六本木ヒルズからの七転八倒

【痔瘻編10】自然治癒することはありません

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「とりあえず、今日のところは終了です。溜まっていた膿も出しましたので、しばらくは大丈夫でしょう。激痛が走ったり高熱にうなされることもないでしょう」

私は第三診察室で院長から今日の治療の説明を受けた。先ほどと同じ椅子に腰掛けているのだが、実に座りにくい。なぜなら、私のお尻には止血用の綿が生理用ナプキンのようにあてがわれているからだ。今日はこのままの状態で帰宅しなければならないとのことだ。

「溜まっていた膿は出しきりましたが、『ろう管』……要するにトンネル部分はそのまま残っている状態です。これを治さない限り、いつまた膿が溜まってしまうかわかりません」

院長は、説明用の図を指差しながら説明を続けた。

「この『ろう管』は、自然治癒することはありません。根治するには手術しかありません」

「手術……ですか」

私は息を呑んだ。以前に虫垂炎の手術を受けた経験があるので、手術自体に恐怖心は無かった。だが、つい今しがた受けたあの麻酔注射の激痛を思い出すと、二の足を踏んでしまう。

「手術自体は極々簡単です。十五分くらいで終わってしまいます。ただ……」

そこまで言うと、院長は椅子を回転させて、卓上カレンダーを手に取った。

「しばらく入院が必要になります。一週間から十日ほどですが。大丈夫ですか?お仕事の都合などもあるでしょうから……」

院長はカレンダーの左端から右端までをペン先でなぞってみせた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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