六本木ヒルズからの七転八倒

【痔瘻編15】アムロか……

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「オゥッ!!ウッ!!ツッ!!」

それは低い男性の声だった。それは、私が肛門に麻酔注射を打たれた際に上げたうめき声とよく似ているような気がした。私の隣で手術を待っている患者も、これから何が起こるのかといった様子で、目を丸くしていた。

そんな私達の狼狽を察知してか、そばにいた看護師が、

「頚椎麻酔って、ちょっと痛いんですよ。でも一瞬ですけどね」

そう言って、笑顔で腰のあたりを擦った。この『ろう管』の摘出手術では、頚椎麻酔を使用するということは、前日の説明会でも聞いていた。頚椎麻酔は、背中のちょうど腰骨のあたりに注射するらしい。その説明会では痛みについての説明は無かったのだが、いま目の前で起こっている事態から推察すると、かなりのもののようだ。

「ナガサキさん、中へどうぞ」

動揺する心を落ち着ける暇も無いまま、私の名前が呼ばれた。おそるおそる手術室の中へと入っていくと、正面に手術台のようなものが見えた。

「まずはこちらのベッドに横になってください」

中にいた看護師は、手術台の手前にあるベッドを指差した。私は言われるがまま、ベッドへと横になった。

「まずは、頚椎麻酔を打つための麻酔を入れていきますねー」

麻酔のための麻酔。どうせだったら一度でケリをつけてくれよ、などと思うのだが、これがベストの方法なのだろう。私は小さく「はい」とこたえた。

「腰のあたりがねー、すこーしだけ重たい感じになって、後ろから押される感じがすると思いますけどねー。すこーしだけ頑張りましょう!」

そう言いながら、私の腰から背中にかけて、消毒が施された。

「いきまーす」

――アムロか

心の中で愚にもつかないツッコミを入れた直後だった。

「痛ッ!!ウッ!!クッ!!」

オットセイのようなうめき声が、私の口から漏れだした。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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