六本木ヒルズからの七転八倒

【痔瘻編16】手術を開始します

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「痛かったですかー?」

「……はい。ものすごく」

私は軽く逆ギレ気味に答えた。もちろん、この看護師が悪いわけではない。腰に打つ麻酔とはこういうものだということは、いい加減に私も学んだ。だが、多少の悪態をつきたくなるほど、その麻酔注射は痛かったのだ。

「それでは手術台に移動しますねー。ナガサキさんはそのまま寝ててください。」

私を寝かせたベッドごと、手術台の横へと移動された。そのまま、横にズルりとスライドさせるように、私の身体を手術台の上へと看護師三人がかりで滑らせた。

「それでは、頚椎麻酔を入れていきますねー。今度はそんなに痛くないと思いますから。リラックスしてください」

『そんなに痛くない』という言葉をすんなり信じられる心を、私はすでに失っていた。もはや諦めの境地で、全身から力を抜いた。

「痛ッダ!!」

……やはり痛かった。麻酔も、麻酔のための麻酔も、結局全部痛いではないか。お金を払ってこんな苦行を強いられるとは、人間の身体とはつくづく不完全なものだ。

「ナガサキさん、ご気分は悪くないですか?本日手術を担当する岡田です」

二度の麻酔で疲れきっていた私の耳に、男性の声が届いた。顔は見えないが、膿を抜く処置を受けた岡田浩二先生の声だった。

「あ……はい、だいじょうぶ……です」

実を言うと、若干の吐き気があったのだが、さっさと終わらせてくれという気持ちが勝り、大丈夫だと伝えてしまった。

「そうですか。それでは、そのままうつ伏せになって、ここから顔を出してください」

手術台の枕に部分には穴が空いており、うつ伏せになるとそこから顔が出るような仕組みになっていた。たしか、マッサージ店でも同じような仕組みのものを見たことがある。

看護師たちの手を借り、私はうつ伏せ状態になることができた。この時すでに、下半身を自力で動かすことはできなくなっていた。

「それでは、手術を開始します」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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