六本木ヒルズからの七転八倒

【痔瘻編18】薬指に光るもの

←BACK【痔瘻編17】エッ!もう終わり!?

手術の翌日からの入院生活は、比較的快適なものだった。一日一度の回診以外は、基本的にはベッドの上でゴロゴロしているだけだ。持参したノートパソコンでインターネットにつなぎ、「髭原人に打たせてみました」と「こしあんの設定なんてしーらない」もすぐに全話を見終わってしまった。

痔ろうの手術を終えた患者がやるべきことは、快便を目指し、肛門を清潔に保ち、傷口の回復に務めることだ。術後しばらくは傷口に疼くような痛みがあるが、これも痛み止めを飲めば全く問題のない程度のものだった。

病院食も大変美味しく、毎日の楽しみとなった。手術後二日目からは風呂に入ることもできるようになり、快適さに拍車がかかった。

「ナガサキさーん、いかがですかー?」

ポニーテールの看護師が、ゴミ掃除のついでに様子を伺いにきてくれる。ネームプレートには『田村えり子』と書かれていた。彼女はこの病室を担当しており、私が入院してから毎日顔を合わせている。いつもニコニコと子供のように愛嬌がよく、かと思えば、淡いピンク色のナース服からは大人の色香も漂わせていた。

「あぁ、至って順調ですよ。ありがとうございます」

「そうですか、良かった!」

そう言って古雑誌を抱えた彼女の左手の薬指に光るものを見つけたのは、手術後三日目の夕方だった。俄然、入院生活がつまらないものになってしまった。

→NEXT【痔瘻編19】これ、僕のお尻なんですか?

profile

長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
  • 性別:
  • 誕生日:
  • 血液型:
  • 出身地:
  • 好きなもの:
  • 嫌いなもの:
  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

calender

5月≫
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

戻る