六本木ヒルズからの七転八倒

【落札編24】ブラジルに行くんですよ

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情報カテゴリを開いていたブラウザを閉じてから、チラリと背後を振り返った。すると、それに気がついたのか、ボス席に座る美瑠希がこちらに顔を向けた。私は『問題無い』という意思表示のつもりで眉を跳ね上げて見せた。

美瑠希はそれで理解してくれたのか、笑顔を見せてすぐに視線をモニタへと戻した。
私の新人研修に全幅の信頼を置いてくれているのか、もしくはどうでもいいと思っているのかのどちらかなのだろうと解釈することした。

「このバイトって稼げますか?」

唐突に塩村が尋ねてきた。単刀直入ではあるがいまひとつ要領を得ない、若干のアホっぽさを感じさせる質問だ。

「塩村さんは……時給いくらで契約したの?」

私は質問を質問で返した。あたかも人によって契約内容が異なるという含みを持たせて尋ねた。

「え?1200円ですけど。長崎さんは最初いくらだったんですか?」

「まぁ……同じくらいだったかな」

私は言葉を濁した。実際にはまったく同じ時給だったのだが、素直に同じだと認めるのは癪だった。

「そうッスよね。この時給じゃあまり稼げそうにないですけど、なんか仕事は楽そうですね」

塩村は屈託ない笑顔で言い放った。だから入社初日にそんなことを言うんじゃない。こっちはどう返答すればいいのか。

だが、彼の言うことは概ね正しかった。この仕事の強度――平たく言うと『ラクさ』――を考慮すれば、十分な高給取りだと私も考えていた。

彼の口から出る言葉には新人らしい謙虚さはまったく感じられないが、むしろその方が扱いやすいかもしれない。アルバイトなんて所詮、金のためなのだから。

私は塩村から視線を外し、モニタへと顔を向けた。すると、私を呼び止めるように彼が話しかけてきた。

「俺、今度ブラジルに行くんですよ」

お前は突然何を言い出すんだ?

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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