六本木ヒルズからの七転八倒

【落札編3】太ももに右ムチ一発

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「横山ァ!!横山ァァァァ!!ねぇ、横山ドコにいる!?ドコッ!!」

「一番外の黄色い帽子だよ。あんな後ろからで届くのかね?」

「もー!!横山さんッ!!お願いッ!!よーこーやーまぁー!!」

一団となった馬群が4コーナーを周り、府中の長い直線へと入る。
横山典弘騎手が騎乗した10番「サクセスハイ号」は、その黒い馬体を徐々に大外へと持ちだした。

内馬場に設置された巨大なターフビジョンに視線を移す。最内で粘る逃げ馬から徐々に外に向かってカメラがパンする。その一番最後に黄色い帽子が映し出された。

横山騎手の右ムチが馬体のトモ――人間でいうも太ももの付け根のあたり――に一発二発と打ちつけられる。それに応えるようにサクセスハイ号が脚を伸ばす。

「お、伸びそうだね」

「ホント!?来い来い来い来い!!横山ぁ!!」

興奮する裕子を横目に、私は自分が購入した馬券に視線を落とした。軸馬は8番だ。
馬群の中から8番を探す。青い帽子の8番はすぐに見つかった。それもそのはず。ズルズルと位置を下げて最下位にまで落ちてしまっていた。私の第4レースは直線半ばで終了したようだ。ならばと裕子の応援する馬へと意識を向ける。

サクセスハイ号はさらに勢いを増し、一完歩ごとに前の馬との距離を詰める。

「お、差しきれるかな?でも、逃げ馬が止まらないかな……」

「横山横山横山ァァァ!!」

裕子の絶叫とともに、サクセスハイ号は二番手の馬と鼻面を合わせたところでゴール板を通過した。

裕子は忘れていた呼吸を思い出したように大きく息を吸い込んで、どっかりと椅子にへたり込んだ。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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