六本木ヒルズからの七転八倒

【落札編30】取り出した『週刊Gallop』

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「おう、お疲れ。昼メシは何食べたの?」

私は職場の先輩らしく、出勤初日の新人――塩村に話しかけた。

「ラーメン食べました。でもメチャクチャ混んでたうえにクソ不味かったッスよ」

塩村は顔をしかめながら言った。
私はあらためて訊かずとも、それがどこのラーメン屋のことを指しているのか容易に想像できた。この近辺の者ならば一度はハマるトラップと言っていい。それにしても、なぜあんなに不味い店が繁盛しているのだろうか。東京の七不思議のひとつだ。

エレベーターが到着し、狭い箱の中に男二人で乗り込む。

「長崎さんはコンビニ弁当ッスか」

「そうだね。この時間帯だとどの店も混んでるかと思ってね。ちなみに、ウチの会社の会議室ってほとんど使われてないから、事実上の休憩室になってるんだよ。そこでお昼食べても全然オッケーだから」

私がそう言ってコンビニ袋を少し上げてみせると、塩村は「先に聞いとけば良かった」と口を尖らせた。

エレベーターが五階につくと、私は会議室――という名の休憩室へ向かった。

「まだ休憩時間残ってるでしょ。コーヒーでも飲んで休めば?」

私が塩村を誘うと、塩村は嬉しそうに頷いた。別にコーヒーを奢ってやるという意味ではなかったのだが、どうやらそうせざるを得ない雰囲気だ。先輩風を吹かせすぎるのも考えものだ。

「それより、長崎さんに見て欲しいものがあるんですよ」

それより――という言葉が何に掛かっているのかは謎だったが、そんなことはお構いなしに、塩村はコンビニ袋から一冊の雑誌を取り出した。

その表紙には『週刊Gallop』と書かれていた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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