六本木ヒルズからの七転八倒

【落札編34】現在、投資15000円

←BACKパソコン版【コラム】性別、それはS・E・X【126】
←BACKスマホ版【コラム】性別、それはS・E・X【126】

ひとしきり話を終えた塩村は、休憩室の時計へと視線をやった。

「そろそろ戻ったほうがいいッスよね?」

「そうだね。俺はあと三十分くらいあるけど」

「戻ったら何やってればいいですか?」

「うーん、削除基準書のエクセルでも目を通しておいてくれればそれでいいよ」

「了解しました」

塩村は手刀を額にあてて敬礼のポーズをとった。
私もそれに合わせて敬礼した。この数十分間で彼との距離がかなり縮まったような気がした。

「じゃあ……今週末は一緒に行きますか?」

「一応、ツレにどうするか聞いてみてからでいいかな?」

そう言うと、塩村は口を小さく丸めて眉を跳ね上げた。

「レストランで一緒にいた彼女ッスか?」

私は小さく頷いた。

「もしかしたら三人で……ってことになるかもしれないけど、大丈夫?」

「俺は全然構わないッスよ。ただ、指定席が二人がけなんで、俺が一人になりますけど……。まぁいつも知らないオッサンと並んで座ってるから全然OKッス」

「そうか、悪いね」

私が謝ると、塩村は顔の前で手を振って問題が無いことをアピールしてくれた。

彼が休憩室から出て行くと、私はポケットから携帯電話を取り出した。

――調子はどう?結局、どこのホールに行ったの?

そう打ち込むと、私は送信ボタンを押した。
それから一分と経たないうちに、携帯が震えた。本当に女子はメールを打つスピードが異常だ。

――池袋の『トヨタ』だよ。現在投資15000円。なんかこの台、ダメな気がするよ。

裕子から覇気の無い返信が届いた。できることなら週末の軍資金は残しておいて欲しいなと思わずにはいられなかった。

→NEXTパソコン版【落札編35】カドのサラリーマン金太郎
→NEXTスマホ版【落札編35】カドのサラリーマン金太郎

profile

長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
  • 性別:
  • 誕生日:
  • 血液型:
  • 出身地:
  • 好きなもの:
  • 嫌いなもの:
  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

calender

5月≫
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

戻る