六本木ヒルズからの七転八倒

【落札編5】「中央フリーウェイ」

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「次のレース、やる?」

隣でうなだれる裕子に尋ねた。
裕子はおもむろし身体を起こして、真剣な眼差しをこちらに投げかけてきた。

「今のレース、ハズレたんだよ!やるでしょ、当然!」

何を分かりきったことを訊いてくるのかと言わんばかりの表情だ。

「でも、次のレースは障害だよ?」

「ショウガイ?」

裕子の眉がハの字に曲がった。そしてガラスの向こう側に見える馬場に顔を向けた。私もその視線の先を追う。

ターフビジョンのある内馬場には、子供向け遊具も設置してあり、家族連れが穏やかな午後を楽しんでいる姿が見えた。そのさらに向こうには高速道路が見える。この光景を見るといつも荒井由実の「中央フリーウェイ」が脳内から離れなくなって困る。

行き過ぎた視線を戻して、ダートコースの内側へと目を向ける。そこには、障害競走で使用される「大竹柵」が鎮座していた。裕子もきっと、これらの障害を見て悩んでいるのだろう。

だが、そこそこ長い付き合いになっている私には、裕子の出す答えが容易に想像できた。

「障害だったらいいや、やらない」

朝から1レースも的中していない私の予想であったが、これだけは的中させることができた。裕子は以前も「障害レースは落馬しそうでヒヤヒヤするから見ていられない」とこぼしていたことがあった。その意見には私もおおむね同意だった。

「お腹すいたからご飯食べに行こうよ」

「そうだね。あの超高いレストランに行くか」

私の提案に裕子は首を縦に振った。

周りを見回すと、さっきよりも空席が多くなったように感じた。
やはり障害レースは食事休憩の時間だと考える人が多いのだろうか。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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