六本木ヒルズからの七転八倒

【落札編7】見知らぬ、男

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店員にうやうやしいお辞儀を受けつつ店内に入ると、四割ほどの席が埋まっていた。

「あそこにしよ」

裕子が窓際の二人がけのテーブル席を指差した。
私は眉を上げてそれに応えた。

テーブル席に二人で腰を降ろすと、それに呼応するかのように隣の席に座っていた男性がいそいそと身支度を始めた。競馬新聞と赤ペンを手に取り、帽子をかぶり直すと、その青年は逃げるように席を立った。まるで隣に座った私たちのことを避けるかのような素振りだ。

青年の背中を見送り、私はメニューを手に取った。あらためて、その値段の高さに辟易とする。

「三桁の値段が全然ないよ。ホント、この店スゴイね」

裕子がメニューの一番上から指さし確認しながら驚嘆の声をあげた。

「ドリンクならかろうじて三桁だよ」

「食べ物は全て四桁かぁ。ブルジョワジー御用達レストランかっつーの!お高くとまりやがって……まったく」

裕子の怒りは収まらない。だったら一階の牛丼屋にすればよかったのに、という発言は何の解決にもならないのでお冷と一緒に流し込むことにした。

結局、二人とも『ビーフカレー』を注文した。これで一人1350円だ。値段的にはまったく納得できないが、かといって1020円のサンドウィッチを注文するのも負けた気がするというのが二人の共通見解として落ち着いた。

注文を終え、メニュー表を隣のテーブルに置いた時、椅子の上に何やら紙切れが落ちていることに気づいた。伝票か何かと思い手に取る。

「あっ!!」

その紙を裏返すかどうかというタイミングで、背後から男の声が飛んできた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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