六本木ヒルズからの七転八倒

【落札編9】頬をかすめる

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身体を縮こまらせた私を見て、裕子も目を丸くしている。
恐る恐る振り返ると、先ほどの男が出口へと向かって歩く姿があった。

「何?」

裕子に尋ねると、彼女は男の後ろ姿を指差した。

「あの人のリュックだよ。振り向いた時にブンッ!って。もうちょっとでモロに顔に当たるところだったよ。本人は気づいてないみたいだけど……。ガサツな男!最低だね……」

憤慨する裕子を見ていると、私は怒るに怒れなくなってしまった。まぁ悪気があったわけではないだろうし、実際に当たったわけではないので怒るほどのことでもない。

「まぁまぁ……」と裕子をなだめていると、ウエイトレスがビーフカレーを持って現れた。まだ座って五分と経過していない。不安がよぎる。

テーブルに並べられたのは、何の変哲もないカレーとサラダのセットだった。
ウエイトレスが厨房に戻るのを確認してから、裕子が顔を近づけてきた。

「これで全部?」

「そりゃあそうだろ、ビーフカレーしか注文してないんだから」

「デザートも無し?」

「付いてないと思うぜ、メニューに書いてなかったし」

「これで一人1350円なの!?」

「二人で2700円」

「……次に来た時は牛丼にしよ」

そう言って裕子はビーフカレーを口に運んだ。咀嚼と同時に小さく頷いた。どうやら不味くはないらしい。

私も続いて口に運ぶ。1350円という値段が邪魔して素直に美味しいと言ってあげられない。おそらく次に来た時も、結局は文句を言いながらここで食べることになるだろう。

私はカレーを胃に収めながら、先ほどの男の紙に書いてあったであろう次のレースの買い目を必死に思い出そうとした。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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