六本木ヒルズからの七転八倒

【705】施しで、生きる。

スロプーは来る日も来る日も店長さんの手のひらの上で手垢を探している。うまく探し当てられた日は、腹いっぱいご飯が食べられる。そして明日もきっと美味しい手垢を見つけ出せるのだと信じている。

だが、店長さんは全て知っているのだ。私たちが店長さんの手垢で生きていることも、明日も食べに来ることも。そして、その手垢がなくなれば私たちが生きていけなくなることも。

スロプーの息の根を止めることなど、店長さんにとってみれば造作も無いことだ。手垢がなくなるまでキチンと手を洗えばいいだけだ。それが面倒ならば、手のひらをギュッと強めに握りしめてしまえばいいのだ。そうすれば、スロプーなどひとたまりもない。

そんなこと、店長さんは百も承知。そうすればスロプーがいなくなることなど分かりきっている。だが、手垢を食べてくれると考えれば、場合によっては益虫にもなりえるのだ。

しかし、益虫ならば益虫らしく、店長さんからの施しに満足して生きていればいいのだが、やれ手垢が少ないだとか、もっと手垢をつけろだとか言い出す。そうなると店長さんだって黙っていない。手のひらをギュッと丸めてスロプーたちを握りつぶそうとするのだが、そうはうまくいかない……つづく

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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